CRMが定着しない理由とは?活用を成功に導く企業文化と組織設計のポイント

CRMが定着しない理由とは?活用を成功に導く企業文化と組織設計のポイント

どれほど高機能なCRMを導入しても、それが社内業務に定着し実際の現場で活用されなければ、期待した業務改善や生産性向上といった真の効果にはつながりません。近年、顧客情報を一元管理し、営業活動やマーケティング施策をデータドリブンで最適化するためにCRMの導入を検討・推進する企業は増加していますが、現場社員の利用が進まず「ツール導入が目的化する」「運用ルールが形だけになり実務に落ちていない」といった悩みが、IT投資の成果を阻む大きな壁となっています。

このような定着に関する課題の背景には、「システム利用を組織文化として根付かせる取り組みが十分でない」「CRM導入の目的や期待する業務成果が現場レベルまで共通認識になっていない」「組織設計・プロセス設計がシステム活用を前提としたものになっていない」といった根本的な問題が潜んでいます。そこで本記事では、HubOneがこれまで多くの企業にCRM活用支援を提供してきた実績をもとに、CRMが本当に社内に定着するための企業文化の醸成方法や、その土台となる組織設計のポイントについて、具体的な事例や実践ノウハウを交えて解説します。

CRMが定着しない企業に共通する3つの落とし穴

CRMを導入したものの、想定通りに活用が進まない企業には、いくつか共通した本質的な課題が見受けられます。第一に挙げられるのが「目的の不明瞭さ」です。そもそもCRMを導入する明確な理由や達成すべきビジョンが社内で共有されていない場合、現場の担当者は自身の業務遂行に直接的なメリットを感じにくくなり、システムへの情報入力や活用に対するモチベーションが低下しがちです。本来、CRMは単なるデータ管理ツールではなく、営業効率や顧客満足度の向上に直結するものですが、目的意識が希薄だと「入力が面倒」「現場には関係がない」と受け取られ、結果として活用が定着しません。

次に「導入後の支援体制の欠如」が挙げられます。多くの場合、初期導入時の操作説明やセットアップで終わってしまい、実際の運用フェーズにおける悩みや課題に対するサポートが手薄になっています。しかし、CRMの活用はシステム操作に留まらず、どのように既存の業務フローへ組み込み、日々の営業活動や顧客対応に活かすかが重要です。そのため、導入後も現場の課題をヒアリングし、定着化まで伴走する仕組みや継続的なトレーニング・フォローアップが不可欠です。

そして三つ目は「現場の納得感の欠如」です。多くの企業ではCRM導入が経営層やマネジメント主導で決定され、現場の声が十分に反映されないまま進められがちです。その結果、「自分たちが使う理由がわからない」「やらされている感が強い」となり、システムが現場の日常業務に根付かず、活用が進みません。現場が自らの業務改善や成果向上に直結するものとしてCRMを捉えられるよう、意見交換や現場巻き込みを重視した導入プロセスが求められます。

これら3つの落とし穴を回避し、CRMの定着を実現するためには、導入前の段階から明確な目的設定を行い、現場との双方向のコミュニケーションを図ること、さらに導入後も継続的な支援体制を整えることが肝要です。また、経営層と現場が一体となって取り組むことで、CRM活用の意義やメリットが組織全体に浸透しやすくなります。

CRM活用を促進する組織設計の基本

CRMを活用する企業文化を根づかせるには、適切な組織設計が欠かせません。単なる情報管理部門のツールとして扱うのではなく、営業、マーケティング、カスタマーサポートなど顧客と接点を持つすべての部門が横断的に関与できる体制が不可欠です。

具体的には、部門ごとに独立して運用するのではなく、CRMを全社的な顧客基盤と位置づけ、各部門が戦略的にデータを活用し合える連携体制が求められます。そのためには、経営層によるガバナンスのもと、運用方針や目標を全社で統一しつつ、現場の業務フローやニーズも丁寧に反映させる仕組みが重要です。

特に重要なのは、CRM運用をリードし牽引する専任のチームや担当者を設け、継続的に活用状況をモニタリングし、定量・定性両面から運用プロセスの改善を図ることです。こうしたリーダー層は、社内でのロールモデルとなり、部門を横断した推進力を持つ役割を担います。

また、現場スタッフの声やアイディアを柔軟に吸い上げるフィードバックループを構築し、「トップダウン」と「ボトムアップ」の双方から運用ルールや機能改修の最適化を行うことが、長期的な定着につながります。こうした部門横断での連携体制と、現場に根ざした推進者・エバンジェリストの存在こそが、CRM文化を根付かせる上で組織設計における成功の鍵となります。

現場が自発的に使いたくなる「文化」の作り方

CRMを使うことが「仕事の一部」ではなく、「仕事を効率化・価値化するための武器」として認識される文化づくりが求められます。そのためには、まず現場がCRM活用の具体的なメリットを実感できる仕組みを設けることが不可欠です。たとえば、営業会議や部門ミーティングの報告・評価プロセスにおいて、CRM上のデータを活用することをルール化することで、正確な入力や日常的な活用が現場の実利益や評価につながる明確なインセンティブとなります。また、ユーザー教育は単にシステムの操作方法の説明だけでなく、「CRMをどのように業務へ効果的に組み込み、自分自身やチームの成果を高めるのか」という活用イメージまで落とし込んだ内容が重要です。さらに、実際にCRMを活用して営業成果や顧客対応力の向上につなげた社内事例を積極的に共有し、一定の成果を上げた社員やチームを全社的に称賛・表彰する仕掛けをつくることで、現場に自発的な活用の機運と前向きな競争意識が生まれます。こうした「成果につながる活用イメージの浸透」「現場での成功体験の共有」「組織ぐるみのポジティブな評価」という好循環がCRM定着の土壌となり、ひいては全社的な業務改革や働き方変革の礎となります。

データの質を保ち、運用を支えるルール設計

CRM文化を支えるうえで見落とされがちなのが、データの品質管理と運用ルールの整備です。データが不正確だったり、重複や表記揺れがあると、活用意欲が損なわれるだけでなく、営業やマーケティング施策の判断を誤るリスクにも直結します。そのため、データ項目の設計段階で「誰が」「いつ」「どのように」入力するのかといった具体的なルールをあらかじめ策定し、運用マニュアルや画面ヘルプを通じて現場に明確に周知することが不可欠です。たとえば、社名や担当者名、メールアドレス等のキー項目は記入フォーマットや表記統一ルールを事前に定めておくことで、将来的なデータの利活用や分析も容易になります。

また、データは蓄積するほど表記ゆれや重複が発生しやすいため、月次・四半期単位でクレンジングやメンテナンス作業を定期的に実施する体制づくりも欠かせません。たとえば、一括置換、重複検出などCRM標準機能や外部ツールを活用し、実際の業務運用と並行してデータの鮮度・整合性維持に取り組むことが重要です。こうした地道な運用によって、営業やマーケティング、カスタマーサクセスが同じデータを元に迅速かつ精度高く意思決定できる環境が整います。

さらに、現場のユーザーが日々ストレスなくデータ入力できるよう、「必須項目は最小限に絞る」「選択肢型メニューや自動補完を活用する」など、業務負荷を減らすUI設計も積極的に取り入れましょう。入力のしやすさや作業負担の軽減は、継続的な活用の基盤となります。

このように、データ品質管理と運用設計の最適化が両輪となることで、CRM文化が組織に根づきやすくなります。明確なルールと現場に即した運用体制によって、「信頼できるデータがあるからこそ、CRMを活用したい」という前向きな文化が醸成されていきます。

成功する企業が実践しているCRM定着の工夫とは

CRMをうまく定着させている企業には、いくつかの共通点があります。まず、経営層がCRMの重要性とその戦略的意義を強く認識し、自らが旗振り役となって全社的な活用を推進している点が挙げられます。トップダウンでの明確なメッセージ発信により、CRM活用が単なる一部門の施策ではなく、全社的な事業成長の基盤であることが組織内に浸透しています。

さらに、現場レベルの実効性にも工夫が見られます。現場スタッフからのフィードバックを定期的に収集し、その声をもとに業務フローや入力ルールなど運用面の改善サイクルを回すことで、業務に即した柔軟な最適化を実現しています。これにより、現場の納得感・使いやすさを高め、抵抗感の低減と活用率の向上につなげています。

また、CRMによる成果を具体的な数値や事例で「見える化」し、社内で定期的に共有する仕組みが根付いている点も大きな特徴です。たとえば、売上向上や顧客満足度改善、業務効率化など、CRM活用による実績を社内ニュースや表彰制度を通じて広く発信し、部門や個人が得た成功体験を全組織に波及させています。これにより、ポジティブな連鎖と自発的な活用意欲の喚起が生まれています。

さらに、日常業務のあらゆるシーンにCRMが自然に組み込まれている点も見逃せません。例えば、営業会議や顧客対応時に必ずCRM情報を参照・入力するプロセス設計や、データドリブンな業務評価体制の導入など、CRM活用が「業務の一部」として根付いており、利用を強制するのではなく、活用すること自体が効率化や成果につながる“当たり前”の文化となっています。

こうした企業では、CRMを単なるITツールとしてではなく、「顧客理解を深め、データを資産として活かし、組織全体の競争力を継続的に高めていくための戦略的基盤」として位置づけています。経営層と現場が一体となってPDCAを回しながら運用を高度化し、組織全体で価値あるCRM文化を醸成している点が、成功企業に共通する最大の強みです。

HubOneだからこそ、CRM文化の定着を成功に導ける

CRMの導入と文化定着を成功に導くには、システムの知識だけでなく、業務理解、組織風土、現場の課題感に深く寄り添った支援が不可欠です。私たちハブワンは、2010年代から国産・外資問わず数多のCRM、SFA、MA、CMSなどのSaaSプロダクトを取り扱い、これまで数百社に及ぶ支援実績を積み重ねてきました。

私たちが重視するのは、単なるツール提供や初期導入支援にとどまらず、真に現場で「使いこなせる」CRM文化の構築です。そのため、組織設計や業務プロセスの再構築、教育プログラムの設計・運用、そしてデータガバナンス体制の確立といった、上流から下流まで一気通貫した支援を提供しています。特に現場と経営、両者の視点を融合したうえでの業務要件定義やKPI設計、部門横断的なデータ活用体制の構築に力を入れており、単なる「現場任せ」「上意下達」だけではない、本質的なCRM活用体制を追求しています。

HubSpotの導入・活用では、業種や事業フェーズ、既存システムとの連携要件に応じた最適なカスタマイズやオートメーション設計、現場スタッフへの実践トレーニングまできめ細かくサポート。豊富な成功実績をもとに、顧客接点での運用ノウハウや、成果につながるダッシュボード・レポート設計、API連携・業務自動化といった先進的な仕組みもご提案しています。

導入後も、定着支援・活用定着のためのPDCAサイクル構築、現場フィードバックの吸い上げと機能・運用ルールの最適化、カスタマーサクセスや営業との連携強化に至るまで、継続的に伴走します。CRM活用が組織に根付くまで確実にサポートし、クライアントの事業成長と業務効率化、顧客体験向上を実現する──それが私たちハブワンの強みであり、責任です。

「使わせる」から「使いたい」へ──CRMを根付かせる条件

CRMの導入はあくまで出発点にすぎません。真の成果を実現するためには、ツールを現場でただ利用させるだけでなく、自ら進んで活用したくなる組織文化をいかに構築できるかが重要です。本記事で紹介したように、効果的な組織設計や現場を巻き込む文化づくり、データガバナンス体制の確立、そして一人ひとりの現場担当者が実感を持てる運用ルールやサポート体制を整備することが、CRMを日常業務へと自然に根付かせる鍵となります。特に、各部門が横断的にCRM活用の目的や意義を共有し、定期的な成功事例の発信やポジティブな評価サイクルを組み込むことで、「ツールのための運用」ではなく「ビジネス成果につながる運用」への意識改革が促進されます。こうした積み重ねによって、CRMが単なる管理ツールから「顧客志向が根づく企業文化のエンジン」へと変わり、組織全体の競争力や付加価値のさらなる向上につながるのです。ツールの利用を“強制”するのではなく、現場が“主体的に活用したくなる”環境づくりこそが、CRM定着とビジネス成長の持続的な土台となります。

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小向雄大
執筆者:小向雄大
早稲田大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。社長直下の経営企画部門の立ち上げを担い、ゼネラリストとして業務に携わる。その後、大手不動産ベンチャー企業の経営企画、博報堂DY傘下エージェンシーで自社マーケティングおよびクライアントへのコンサルテーション業務に従事。ハブワンにRevOpsとしてジョイン。 HubSpot歴7年目。

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