営業現場でCRMが嫌われる本当の理由と、定着・活用を成功させる方法

営業現場でCRMが嫌われる本当の理由と、定着・活用を成功させる方法

多くの企業が顧客関係管理(CRM)システムを導入していますが、実際の営業現場からは「使いにくい」「手間が増えた」といった否定的な意見が挙がることも珍しくありません。本来、CRMは営業活動を効率化し、顧客との関係をより強化するために設計された重要なツールです。しかしながら、導入の目的が曖昧であったり、現場の実情や営業担当者の業務フローを十分に考慮せずにシステムを導入してしまうと、「入力作業が増える」「実際の営業活動には活かせない」といった現場の不満につながりがちです。その結果、かえって業務の負荷が増大し、営業担当者から敬遠される存在となってしまいます。こうした課題に対し、本記事ではCRMが営業現場で嫌われる主な理由を明確化し、現場の定着率向上・業務効率化を実現するために企業が取るべき具体的なアプローチについて、解説していきます。

CRMが営業現場で嫌われる主な理由

CRMが営業現場で敬遠される理由は複数ありますが、主に以下の点が挙げられます。

まず、入力作業の煩雑さが大きな障壁となります。営業担当者は日々多岐にわたる業務をこなしている中で、商談内容や顧客情報をCRMに丁寧に入力する作業に時間と労力を割くことに負担を感じがちです。入力項目が多すぎたり、記入ルールが複雑であったりすると、単なる“作業”と捉えられやすく、結果的に入力の質や頻度が低下します。

次に、操作性の悪さです。CRMのインターフェースが直感的でなかったり、必要な情報にすぐアクセスできず何度もクリックを要したりと、実際の業務フローに合致しないUI/UX設計は、担当者の利用意欲を著しく低下させます。とくに、スマートフォンや外出先からのアクセスが多い営業現場では、レスポンスや操作の手軽さが重要視されます。

さらに、導入目的の不明確さも大きな要因です。経営層や管理部門ではCRM導入の意図や期待される効果を理解していても、それが現場の営業担当者まで明確に伝わっていない場合、「なぜ使うのか」「業務にどのようなメリットがあるのか」が実感できず、CRMの活用が形骸化します。導入の背景やゴールが納得感を持って共有されていないと、現場の協力も得られません。

また、現場のニーズとの不一致も無視できません。現場の実際の業務プロセスや課題を十分にヒアリングせずにCRMを選定・導入してしまうと、システムが実情とかけ離れ「現場のためになっていない」という見方をされ、結果として使われなくなってしまいます。

これらの複数の要素が重なった場合、CRMは現場から「使えないツール」「管理部門のためだけのシステム」と見なされ、積極的な活用が進まず、営業活動に十分寄与できなくなります。

CRM導入の失敗事例とその背景

CRM導入に失敗した企業の事例をいくつか紹介します。

  • A社のケース
    導入目的が曖昧なままプロジェクトが進行し、経営層やIT部門だけで議論が行われ、現場への十分な説明や意義の浸透がされませんでした。その結果、営業担当者の多くが「なぜ導入するのか」「具体的にどのような効果があるのか」を理解できず、CRMの活用意欲が湧かずに利用率が大きく低下しました。
  • B社のケース
    操作性を十分に検証しないままCRM製品を選定・導入してしまいました。UI/UXが直感的でなく、入力作業が煩雑になったため、現場担当者が入力業務を後回しにしてしまい、顧客情報が最新の状態に保てなくなりました。これにより、データの信頼性が損なわれ、最終的には現場で資産として活用されなくなってしまいました。
  • C社のケース
    導入前に現場の業務フローや実際のニーズを十分にヒアリングせず、機能やコスト面のみでCRMを選定しました。結果として、現場の業務プロセスと導入したCRMが適合せず、立ち上げ直後から「現場の役に立たない」という声が多発し、早期に利用停止に追い込まれました。

これらの事例から明らかなのは、CRM導入を成功させるためには事前の準備と現場との双方向コミュニケーションが不可欠であるということです。導入の目的やゴールを全社的に共有すること、現場の業務プロセスや課題・要望を細かく拾い上げてシステム要件に反映させることが、失敗を防ぐうえで極めて重要です。

CRM導入を成功させるためのポイント

CRM導入を成功させるためには、以下のポイントを体系的に押さえることが不可欠です。

  1. 導入目的の明確化
    まず、CRMを導入する理由や期待する具体的な成果を経営層・現場含めて明確化します。導入の背景やゴールを社内全体で共有することで、「なぜ導入するのか」「どのような業務改善につながるのか」が現場にも浸透し、納得感とともにプロジェクトを進められます。
  2. 現場ニーズの把握
    営業担当者の業務フローや日常の課題点を丁寧にヒアリングし、それらを解決・効率化できる機能を持つCRMを選定します。実際に現場が直面している業務プロセスや運用の実情に合致させることで、「使われないCRM」を防ぎ、業務の質と負荷軽減の両面で現場メリットを最大化できます。
  3. 操作性・UI/UXの検証
    現場で日々使用する担当者が直感的に扱いやすく、必要な情報へ素早くアクセスできるインターフェースかどうかを事前に確認します。営業現場でのスマートフォン利用や外出先からのアクセスも考慮しつつ、シンプルかつ分かりやすい操作体系を持つCRMを選びます。
  4. 教育とサポート体制の整備
    導入後は初期トレーニングの実施や運用マニュアルの用意をはじめ、問い合わせやトラブルに迅速に対応できるサポート体制を構築します。また、必要に応じて定期的な振り返りや追加研修を実施し、現場での定着と成果創出を持続的に支援します。

これらの要素を段階的かつ確実に実施することで、CRMは単なる管理ツールではなく、営業現場における業務効率化・データドリブンな意思決定・顧客体験の向上を実現する「成果の出るインフラ」として定着します。

成功事例に学ぶCRM活用のコツ

CRM導入に成功した企業の事例から、どのような工夫が活用につながったのか具体的に学びます。

D社の場合は、営業担当者の現場ニーズを丁寧にヒアリングし、そのフィードバックをもとにCRMのカスタマイズを実施。システムの仕様や項目設定を現場の業務フローに合わせて最適化した結果、データ入力の手間や煩雑さが大きく軽減され、担当者一人ひとりの負担が減ったことで、積極的な活用が浸透しました。

E社のケースでは、まず導入目的を経営層と現場の双方で明確化し、プロジェクト開始時から目的意識の徹底を図りました。さらに、定期的に効果測定を行う仕組みを組み込むことで、CRM活用がもたらす成果をデータとして可視化。これにより各部門で「使う意味」が認識され、運用が全社的に定着しました。

F社の事例では、現場で直感的に使える操作性の高いCRMを厳選し、導入前から十分なトレーニングプログラムを実施。マニュアルやFAQを整備し、導入初日からサポート体制を確立したことで、現場担当者の不安や抵抗感を払拭。実際の運用開始後も定着率が高く、スムーズな業務移行を実現しています。

これらの事例から見えてくるのは、現場の意見を起点に「業務フローへの適合」「目的の明確化」「運用サポートの充実」といった観点でCRMを選定・設計・運用することが、成功への決定的なポイントであるということです。導入当初から現場参画を促し、小さな課題にも寄り添いながら運用をブラッシュアップしていく姿勢が、全社的な活用浸透と定着に直結します。

営業現場でCRMを定着させるための戦略

CRMを営業現場で定着させるためには、以下の戦略を体系的に実践することが重要です。

まず、「段階的な導入」が不可欠です。一度に全機能を展開するのではなく、営業活動や日常業務に直結する主要な機能から順次導入することで、現場の混乱や負荷を最小限に抑えつつ、自然な形での浸透を図れます。徐々に利便性や成果を実感できるため、ユーザーの抵抗感も和らぎ、定着率が高まります。

次に、「KPIによる可視化」が定着を後押しします。CRM導入で得られる具体的な効果――たとえば商談数や成約率、データ入力率の向上など――を部門横断でリアルタイムに見える化し、定期的に共有することで、現場メンバーが自分ごととして目標や成果と向き合える土壌をつくります。データに基づきPDCAを回すことで、運用の質とスピードを同時に引き上げることが可能です。

「フィードバックループの構築」も見逃せません。営業現場からの意見・改善要望を定期的に集め、CRMシステムの改修や運用ルールの見直しへ迅速に反映する体制づくりが、現場の信頼醸成と持続的な改善サイクルの基本です。経営陣や管理部門だけでなく、実際に利用する現場メンバーを運用プロセスの主役として参画させることで、当事者意識と納得感を高められます。

さらに、「インセンティブの設定」も効果的です。CRM活用が売上や顧客満足度など組織の成果に直結している事実を明確にし、入力・活用状況や業績向上に応じた評価・報酬制度を設けることで、モチベーションと行動変容を自然発生的に促すことができます。「使うことが“得”になる」仕組みの設計が、現場への根付きに直結します。

このように、CRMを単なる管理ツールではなく、「売上向上や顧客満足度向上を実現するための戦略的な武器」として再定義し、現場の真の課題解決や価値創出を軸にした推進を行うことが、持続的な活用と成果最大化の鍵となります。

HubOneだからこそCRMが営業現場に定着する

CRMを現場で根付かせ、実際に業績向上へと結び付ける際、最大のハードルとなるのが「現場で使われない」現象です。単にツールの機能や操作説明だけではなく、現場の業務プロセスや部門間連携、組織全体の運用体制にまで踏み込んで支援できるパートナーの存在が不可欠です。こうした中で、「現場目線でのCRM活用支援」を専門とするパートナーの重要性がより一層高まります。

ハブワンは、2010年代からCRM、SFA、MA、CMSなど多種多様なSaaSソリューションを国産・外資問わず取り扱い、数百社を超えるマーケティング・営業変革支援の実績を積み重ねてきました。ハブワンの支援の根幹には、「現場課題ファースト」なCRM導入・運用設計があります。例えば、営業担当者が無理なく日常業務で入力したくなるインターフェース設計、営業とマーケティングが自然にデータを共有し連携できる分析レポートの構築、さらに現場への定着まで継続的に伴走する体制づくりなど、操作説明の枠を超えた包括的な支援を提供します。

また、単なるシステム導入支援にとどまらず、現場の負担を最小限に抑えつつ、業務プロセスや運用ルールの見直しを含む全社横断の体制構築を推進します。具体的には、現場ヒアリングをもとにボトルネックや課題を抽出し、経営層・管理部門とも連携しながら理想的な業務フロー・部門間連携の在り方を設計。さらに定着を目的としたトレーニングやマニュアル整備、KPIの「見える化」運用サポート、フィードバック体制の構築まで、成果創出に必要な要件をワンストップで実現します。

「CRMを入れても使われなくて困っている」「定着せず業績向上に結びつかない」といった課題を根本から解消し、現場主導で着実に成果へ導く実践型パートナーとして、ハブワンをぜひご活用ください。私たちはお客様に寄り添いながら、営業活動と業務効率の両立を実現する最適なCRM活用を提案・実装いたします。

CRMが「嫌われ者」から「成果を支えるパートナー」へと変わるために

CRMが営業現場で嫌われるのは、単にツールそのものに問題があるのではなく、導入プロセスや運用方法、そして現場とのコミュニケーションのあり方に課題が潜んでいるケースが多いものです。例えば、導入の目的や期待する成果が十分に現場に伝わっていない、運用ルールや入力項目の設計が現場業務と乖離している、UI/UXが直感的で使いづらい、こうした要素が重なることで「業務に直結しない」「負担ばかり増える」と認識され、自然と敬遠されてしまいます。

しかし、これらの障壁を乗り越え、CRMを営業活動の中核ツールとして定着させ、組織の成長を加速させている企業も数多く存在します。共通しているのは、現場の声を起点としたシステム設計と運用体制づくりです。例えば、段階的な機能導入で現場の負荷を抑えつつ運用を定着させたり、KPIをチーム全体で可視化・共有しながら成果や課題をリアルタイムで把握できる仕組みを構築したり、また現場からのフィードバックや要望を迅速にシステム改善へ繋げる“フィードバックループ”を設けるといった地道な工夫の積み重ねが、CRMの「使われ方」を大きく変えていきます。インセンティブ設計や評価制度との連動も、現場のモチベーション向上や自発的な活用促進に寄与します。

このように、CRMは適切なアプローチで運用すれば、営業活動の精度向上や顧客関係の深化、ひいては売上・業績の拡大を支える極めて有効なプラットフォームとなるのです。もし自社で「現場に定着しない」「使われない」といった課題を感じている場合は、導入目的や運用設計、現場との対話やサポート体制を改めて見直し、営業担当者が“主体的に使いたくなる”仕組みへとアップデートすることが重要です。CRMを「嫌われ者」から「成果を支える心強いパートナー」へ――現場と一丸となって変革へ踏み出してみてはいかがでしょうか。

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小向雄大
執筆者:小向雄大
早稲田大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。社長直下の経営企画部門の立ち上げを担い、ゼネラリストとして業務に携わる。その後、大手不動産ベンチャー企業の経営企画、博報堂DY傘下エージェンシーで自社マーケティングおよびクライアントへのコンサルテーション業務に従事。ハブワンにRevOpsとしてジョイン。 HubSpot歴7年目。

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