CRM導入に社内の理解を得るための5つの説明ポイント

CRM導入に社内の理解を得るための5つの説明ポイント

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係を深めることで企業の競争力を高め、事業の持続的な成長を実現するための極めて重要なツールです。CRMの活用によって、顧客情報の一元管理や、営業・マーケティング・カスタマーサポート各部門の業務効率化、データに基づく意思決定の迅速化が図れます。しかし、その導入プロセスは単なるシステムの置き換えやツールの導入にとどまるものではなく、既存の業務フローや組織文化に大きな変革をもたらします。組織全体で新しい業務プロセスや役割分担への理解と定着を図ることが成功の鍵となります。

とくに重要なのは、CRMの導入に際して「なぜ今このツールが必要なのか」「導入によってどのような業務課題が解決され、どんな成果が期待できるのか」という点を、経営層から現場の担当者まで社内の全関係者に対して分かりやすく、具体的なメリットや事例を交えて説明し、納得感と十分な合意形成を得ることです。十分な理解と納得がなければ、現場で活用が進まず期待する成果につながりません。

本記事では、CRM導入時に社内の関係者から理解と協力を得るために押さえておくべき説明ポイントについて、5つの章に分けて具体的に解説します。

CRM導入の目的とその重要性

CRM導入に際してまず不可欠なのが「目的の明確化」です。導入プロジェクトが成功するか否かは、この初期段階で何を実現したいのかを明確に定め、社内の共通認識とすることに大きく左右されます。目的が曖昧なまま進めると、現場の理解や協力が十分に得られず、システムが形骸化してしまい、「期待した効果が出ない」「現場で使われない」といった失敗につながるケースが少なくありません。

たとえば、「顧客情報の散在による営業機会の損失を防ぎたい」「営業活動の履歴を可視化して組織で共有したい」「顧客ごとに最適な提案タイミングを逃さず把握したい」など、現場起点の具体的な業務課題を抽出し、それをCRMというツールによってどのように解決するのかを、言語化して全社で共有することが不可欠です。この一連のプロセスを通じて、経営層から現場担当者まで「なぜ今CRMに取り組むのか」「どのようなゴールを設定するのか」といった共通認識が醸成され、プロジェクト推進力につながります。また、目的が明確になれば、その後のKPI・KGIといった評価指標の設計、さらには活用浸透の施策策定にも具体性が生まれ、全体の成果最大化に寄与します。

CRM導入のメリットと期待される効果

CRMの導入によって得られるメリットは多岐にわたります。代表的なのは、「顧客接点の履歴が一元的に見える化されることで、情報の属人化を排除し、誰もが最新の顧客情報を基に行動できるようになること」「ビジネスプロセス全体で営業・マーケティング・カスタマーサポートの部門連携が強化され、組織全体でシームレスな対応が可能になること」などが挙げられます。これにより、例えば過去の商談内容やお問い合わせ履歴を容易に参照しながら、最適なフォローやパーソナライズされた提案を実施することができ、顧客ごとの体験価値を向上させることが可能になります。さらに、蓄積された購買データや行動履歴を分析し、タイミングやニーズに合ったアプローチを自動化することで、LTV(顧客生涯価値)を戦略的に高めることも実現できます。

これらのメリットは単なる業務効率化やコスト削減といった表面的な効果にとどまらず、事業の成長や収益性向上、組織全体の意思決定の質向上といった根幹に関わる重要な効果です。CRMの導入意義や価値を社内で正しく理解・共有することは、現場の納得感や期待値の醸成につながり、プロジェクト全体の成功を左右する重要なポイントとなります。

CRM導入プロセスと社内の巻き込み方

CRMの導入プロセスは、「システム選定」「業務フローの再設計」「データ整備」「トレーニング」「検証と改善」といった複数の段階を段階的に進めていく必要があります。ただ単にシステムを導入するだけではなく、各プロセスにおいて必ず現場の声や実際の業務ニーズを的確に反映させることが、導入の成否を左右します。特に、営業チームやカスタマーサクセス部門など、日常的にCRMを活用する現場担当者が初期段階から積極的に関わることが重要です。現場の現実とかけ離れた設計になってしまうと、システムが形骸化し、導入後の活用が定着しない原因となります。

そのため、プロジェクトチームは単一部門のメンバーだけで構成するのではなく、営業・マーケティング・カスタマーサクセス・IT部門など複数の部門から横断的に人材を参画させ、部門ごとの現場課題や要望を丁寧に吸い上げてプロセスに反映していくことが求められます。こうした組織横断型の体制を構築することで、全社的な協力を促進し、各フェーズで当事者意識を持ちやすくなります。さらに、定期的なワークショップやレビュー機会を設けることで、導入過程で生じる現場の疑問や運用課題を早期に発見し、柔軟に改善策を講じる体制が整います。結果として、現場の納得感と主体性が生まれ、実効性の高いCRM導入に繋がります。

CRM導入の成功事例と失敗事例

CRM導入に成功している企業に共通する要素としては、「プロジェクト全体の目的とメリットを初期段階から明確にし、これを経営層から現場担当者まで全社で共有できていること」、「営業・マーケティング・カスタマーサクセス・ITなど部門横断的な参加と巻き込みが実現できていること」、そして「一度にすべてを完璧に仕上げようとせず、業務現場に根ざした小さな課題から段階的に活用を広げていく“スモールスタート”のアプローチ」が挙げられます。これにより、現場の納得感や参画意識が高まり、CRMが業務の中で自然に活用されて定着しやすくなります。

一方、失敗事例では「IT部門だけで導入を主導し、現場の声や実情を十分に反映できなかったために利用が広がらない」「データ整備・移行が不十分なため、CRMに格納された情報の信頼性が欠け、現場で活用されなくなる」といった課題が顕著に見られます。こうしたケースでは、初期段階で部門間連携や現場巻き込みの仕組みづくりに注力しなかったことが、その後の活用浸透を妨げる大きな要因となっています。

そのため、CRM導入を進める際は、初期フェーズで一部業務プロセスや部門にフォーカスして実際に運用を開始し、得られたポジティブな成果や“小さな成功体験”を可視化・共有しながら、徐々に全社展開へとステップを進める「スモールスタート戦略」が極めて有効です。成功・失敗それぞれのパターンや教訓を学び、自社の組織や業務特性、リソースに合わせた最適な導入ステップ・ロードマップを描くことが、着実な定着と成果創出につながります。

CRM導入後のフォローアップと継続的改善

CRMは導入して終わりではなく、「どう活用し続けるか」が問われるツールです。定着化を図るためには、定期的な活用状況のレビューや、ダッシュボードによる可視化、使いやすさを高めるカスタマイズなどが求められます。さらに、ユーザーごとの利用頻度やアクション履歴を定期的に分析し、業務プロセスとの乖離や新たに生じる課題を早期に把握することも重要です。たとえば、営業活動のパターンや入力漏れ・重複データの発生状況などを定期的に確認し、運用ルールを見直すことで、システムが現実の業務に適合し続ける状態を維持できます。

また、現場からのフィードバックを吸い上げ、実際の運用状況や課題を経営層や管理部門と共有し、継続的な改善サイクルを回す体制をつくることも必要です。現場主導の意見や提案を尊重しつつ、経営層からの全社的な方向性や方針を反映させることで、トップダウンとボトムアップの双方の視点を融合させた運用体制が実現します。さらに、人材の教育やベストプラクティスの共有、成果指標(KPI/KGI)達成状況の定期的なモニタリングを取り入れることで、CRMの価値を最大化し、継続的な業務改革や競争力強化へとつなげることが可能です。

HubOneだからこそ、CRM導入の成功に近づける

CRM導入を成功に導くためには、単なるツールの導入やシステムリプレイスという観点に留まらず、実際の現場業務を深く理解し、そのプロセスに即した最適な設計と細やかな活用支援が不可欠です。株式会社HubOne(ハブワン)は、2010年代から国産・外資問わずさまざまなSaaSプロダクト—CRM、CMS、MA、SFA等—の導入・運用を手がけ、100社を超える多様な業種・業態のお客様に対して豊富な支援実績を積み重ねてきました。私たちは単なる「システム導入」ではなく、「現場で実際に成果を生み出す業務基盤の構築」に徹底的にこだわっており、現場ヒアリングを起点とした要件定義から、経営層と実務部門双方の目的・課題を的確に汲み取った設計、さらに導入後の運用改善・着実な定着支援まで、ワンストップで伴走する体制を整えています。

また、単なる初期導入だけでなく、定着・浸透フェーズにおいても、定期的な活用状況モニタリングや、現場からのフィードバックを吸い上げるPDCAサイクル、ダッシュボードやトレーニングの継続提供まで、きめ細やかなフォローアップを実施しています。多様なSaaS・業務システムと連携した拡張性の高い運用を実現できるのも、HubSpot認定プラチナパートナーとして蓄積してきた技術と知見、そして業界最先端のノウハウに基づいた最適解を迅速にご提案できるからです。

「社内のDXを推進したい」「CRMを現場に根付かせ、確かな成果を得たい」とお考えの企業様こそ、ぜひハブワンの実践的なノウハウをご活用ください。全社的な合意形成・現場理解、部門横断の業務設計、長期にわたる成長支援まで、課題やご要望に寄り添いながら、成果創出への最短ルートをご提案いたします。

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小向雄大
執筆者:小向雄大
早稲田大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。社長直下の経営企画部門の立ち上げを担い、ゼネラリストとして業務に携わる。その後、大手不動産ベンチャー企業の経営企画、博報堂DY傘下エージェンシーで自社マーケティングおよびクライアントへのコンサルテーション業務に従事。ハブワンにRevOpsとしてジョイン。 HubSpot歴7年目。

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