CRMでカスタマーサクセスを強化|KPI可視化と成果につなげる運用支援の実践法

CRMでカスタマーサクセスを強化|KPI可視化と成果につなげる運用支援の実践法

近年、サブスクリプション型ビジネスの拡大に伴い、「カスタマーサクセス」の重要性が高まっています。企業が安定した成長を目指すうえで、既存顧客への価値提供を継続し、顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大化することが不可欠です。顧客の成功を支援し、長期的な関係を築くためには、顧客の声や利用状況を定量的に把握し、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定と、その可視化・トラッキングが不可欠です。たとえば、チャーンレート(解約率)やアップセル率、ユーザーの活用度といった指標を追いかけることで、課題の早期発見と先手のアクションが可能になります。CRM(顧客関係管理)システムは、これらの指標を部門横断で一元管理し、多角的に分析するための強力なツールとなります。顧客ごとのステータスや利用傾向、サポート履歴などを統合することで、チーム全体が同じKPIを共有し、的確なカスタマーサクセス活動を推進できます。本記事では、カスタマーサクセスにおける主要なKPIと、それらをCRMで効果的に可視化・活用する方法について、実践的な手法や具体的なポイントを分かりやすく解説します。

カスタマーサクセスとは何か

カスタマーサクセスとは、顧客が自社の製品やサービスを通じて最大限の成果や価値を得られるよう、戦略的かつ体系的に支援するアプローチです。従来のカスタマーサポートが主に顧客からの問い合わせや課題に受動的に対応する役割を担っていたのに対し、カスタマーサクセスは、企業側が主体的に顧客の状況や目標を把握し、課題の予測や分析を行った上で、最適な解決策や活用方法を積極的に提案し続ける点に特徴があります。

 

この活動は、単に課題解決にとどまらず、顧客ごとの利用状況やビジネスゴールに応じて個別最適な施策を設計・実行し、継続的な成果創出を目指します。結果として、顧客満足度の向上や信頼関係の強化、解約率(チャーン)の低下、さらにはLTV(顧客生涯価値)の最大化へとつながります。特にサブスクリプション型サービスが主流のSaaS業界では、安定的かつ継続的な収益モデルの実現に不可欠な取り組みとなっており、導入初期からオンボーディング、定着・拡張提案、リテンション強化に至るまで、顧客の成功を軸とした部門横断のサポート体制が求められています。

 

カスタマーサクセスの実践により、企業は単なる「サポート提供者」から「顧客のビジネス成長を共創するパートナー」へと進化できるのです。

カスタマーサクセスにおける主要なKPI

カスタマーサクセスの効果を客観的かつ継続的に評価するためには、組織の目標やビジネスモデルに即したKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。代表的なKPIとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 解約率(チャーンレート)
    一定期間内に契約を終了した顧客の割合を示し、顧客維持の健全性を測る重要な指標です。解約率の低減はLTV(顧客生涯価値)の向上に直結します。
  • オンボーディング完了率
    新規顧客がサービスを円滑に利用開始できているかを示す指標で、カスタマーサクセス活動の初期段階の成果を把握するのに有効です。オンボーディングでのつまずきがその後の解約リスクに影響するため、特に重視されます。
  • アップセル・クロスセル率
    既存顧客に対して新たな商品やサービスを提案し、追加購入や契約拡大につながった割合を示します。単純な顧客数の維持のみならず、関係性の深化や単価向上による収益増を目指す観点で不可欠です。
  • 売上継続率(NRR/Net Revenue Retention)
    既存顧客基盤から生み出される収益が、一定期間後にどの程度維持・拡大されているかを示す指標です。リテンション施策の効果やアップセル戦略の実現度を総合的に確認できます。
  • NPS(Net Promoter Score/顧客推奨度)
    顧客が自社の製品・サービスを第三者に推薦する意向を数値で把握するもので、顧客満足度やファン化の進捗を測る基準となります。NPSの推移から口コミによる新規獲得やカスタマーエクスペリエンス全体の改善を図ることも可能です。

これらのKPIは単独で捉えるのではなく、顧客のライフサイクルや施策との因果関係を意識しながら、部門横断で共有・運用することが重要です。定期的なモニタリングとデータ分析を通じて、施策の実効性を検証し、発見された課題や傾向に対してタイムリーな改善策を講じる仕組みを構築することで、顧客との信頼関係を強化し、ひいてはビジネスの持続的な成長と競争力強化を実現できます。

CRMを活用したKPIの可視化方法

CRMシステムは、顧客情報の一元管理と分析を可能にし、特にカスタマーサクセスのKPIを可視化・管理する上で欠かせない役割を担います。これにより、顧客との接点やステータスをリアルタイムで把握し、データドリブンな戦略立案と迅速な意思決定が実現できます。具体的な活用方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ダッシュボード活用
    カスタマーサクセスに関連する各種KPI(解約率、LTV、アップセル率など)をダッシュボード上で視覚的・リアルタイムに表示し、経営層から現場担当者まで状況を即座に把握、課題や傾向に基づいたタイムリーなアクションを可能にします。
  • セグメンテーション分析
    顧客データを属性(業種・従業員規模・役職 等)や行動(利用頻度、サービス活用状況 等)ごとに分類し、特性やニーズに合わせた最適なアプローチや、ターゲットごとに施策の優先順位づけを行います。これにより、限られたリソースでも高い成果が見込めるカスタマイズ施策の実行が可能です。
  • RFM分析
    Recency(最終利用日)、Frequency(利用頻度)、Monetary(取引金額)の3軸で顧客をスコアリングし、ロイヤル顧客や離反リスクの高い顧客を可視化。継続率向上やリテンション施策のプライオリティ設定に役立ちます。
  • LTV分析
    顧客ごとの生涯価値(LTV)を算出し、高LTV層に対してはサポート強化やクロスセル・アップセル施策を集中的に実施。これにより、費用対効果の高いリソース配分や、持続的な収益基盤の構築につなげることができます。
  • カスタマージャーニーの可視化
    顧客の契約・利用開始から、オンボーディング、定着・アップグレード、解約リスク検知まで一連のプロセスをCRM上でトラッキング。各フェーズごとのKPI進捗やボトルネックを把握し、ピンポイントな打ち手を講じることが可能です。

これらの分析・可視化を駆使しながら、HubOneでは経営層・現場双方の視点から現状課題を明確化し、実効性・再現性の高いカスタマーサクセス戦略策定と運用を一貫支援しています。顧客理解の深化と部門横断的な連携強化により、企業全体の信頼関係強化やLTV最大化を実現する体制づくりが可能となります。

KPI設定とCRM統合のベストプラクティス

カスタマーサクセスのKPIを効果的に設定し、CRMと統合するためには、いくつかの重要なベストプラクティスを体系的に実践することが求められます。

  1. 明確な目標設定
    まず、自社のビジョンや中長期戦略を踏まえたうえで、カスタマーサクセス施策の最終的な到達点や重視する経営成果を具体的に定義します。これにより、KPIが単なる数値目標ではなく、「なぜ必要か」「どのようなインパクトをもたらすのか」を関係者全体で共有しやすくなります。
  2. KPIの選定
    目標に直結し、現場のアクションと連動した指標を厳選します。チャーンレートやオンボーディング完了率、NRR、アップセル率などを中心に据え、指標が過剰になりすぎて本質を見失わないよう注意します。また、定性的な顧客満足度(NPS・エスカレーション件数等)も必要に応じて補完します。
  3. データの整備と統合
    営業・マーケティング・サポートなど、部門ごとに分散管理されている顧客情報や接点データを、CRMに集約・統合します。フォーマットや更新ルールを統一し、信頼性の高いデータ基盤を構築することで、KPIの進捗把握や課題抽出がリアルタイムかつ部門横断的に実施できる環境を整えます。API連携やRPA等を活用することで、データ入力・更新の自動化による運用負荷の軽減も図ります。
  4. 定期的なレビューと改善
    KPIごとの進捗状況をダッシュボード等で可視化し、週次・月次など決まったサイクルでレビューを実施します。そのうえで、顧客動向や市場環境の変化を踏まえて、必要に応じてKPIそのものやアクションプランの見直しを行います。単に結果を確認するだけでなく、「なぜ達成できたか・できていないか」というプロセス分析を通じ、業務フローやツール運用面での改善へとつなげていきます。

このようなステップを一貫して実践することで、自社のKPI運用の精度と実効性が格段に高まり、CRMを中心としたカスタマーサクセス推進体制の強化と成果創出へとつながります。また、HubOneではこれらのプロセス設計から運用支援までをワンストップで提供し、クライアント企業ごとの業界特性や現場の実態に即したKPI・CRM活用を実現しています。

CRM活用によって実現するカスタマーサクセスの未来

CRMを活用することで、カスタマーサクセスの現場はかつてないほど進化しています。従来は営業やサポートが個々に顧客の声を集めていたのに対し、現在ではCRMによって「顧客の行動履歴」「問い合わせ傾向」「プロダクト活用度」「契約状況の変化」などを、組織横断的かつリアルタイムで可視化できます。これにより、営業・サポート・マーケティングが共通の顧客理解を持ち、各部門が連携して、より緻密かつパーソナライズされた施策を迅速に実行できるようになります。

 

さらに、CRMとMA(マーケティングオートメーション)、カスタマーサクセス専用プラットフォーム等を連携させることで、顧客のライフサイクルやフェーズごとに最適な施策を自動化し、リテンション強化や解約リスクの早期検知を実現します。加えて、AIや機械学習による予測スコアリングを導入することで、「次にフォローすべき顧客」や「成長可能性の高いセグメント」を的確に特定し、効率的かつ戦略的なアクションが可能となります。これにより、予防的なサポートや最適なタイミングでのアップセル・クロスセル提案など、真に成果につながるカスタマーサクセス施策を実現できます。

 

もはやCRMは単なる顧客情報の管理ツールではなく、「顧客の成功体験を生み出し、持続的な関係構築を支える戦略基盤」として機能します。この戦略基盤を中心に据えることで、企業と顧客はより信頼性の高いパートナーシップを築くことができ、結果としてLTVの最大化や、新たなビジネスチャンスの創出、そして収益の持続的成長へとつながっていきます。

HubOneだからこそ成功に近づける

CRMを活用してカスタマーサクセスを推進するには、単にツールを導入するだけでは十分ではありません。重要なのは、「どの指標を重視し、どのように計測・分析し、どのようなアクションへつなげていくか」という戦略的視点に立った設計と、現場での運用支援を両立させることです。株式会社HubOne(ハブワン)は、2010年代から国産および外資系を問わず、多様なCRM、MA、SFA、CMSといったSaaSソリューションを取り扱い、中小企業から大手企業まで、数百社におよぶ営業・マーケティング領域での支援実績を重ねてきました。

 

HubOneの特徴は、単なるITツールの導入にとどまらず、クライアントごとのビジネス目標を可視化し、その達成に直結するKPI設計と運用プロセスの策定、さらには現場への定着までをワンストップでご支援する「パートナー型サービス」にあります。カスタマーサクセス領域においては、継続率の向上やアップセル・クロスセル率の改善など、経営インパクトにつながる成果にこだわり、KPIの可視化・モニタリングから具体的な改善アクションまで、実行力のある戦略設計・運用ノウハウを提供しています。また、現場担当者向けのシナリオ設計やダッシュボード構築、オペレーション効率化のためのトレーニングやマニュアル整備も一貫して実施。顧客ごとの事業フェーズや課題を踏まえた個別アプローチを提案し、部門横断型の連携体制を強化することで、真に「成果につながるカスタマーサクセス」を実現します。

 

HubOneは、カスタマーサクセスが短期的な成果のみならず、中長期的な顧客関係の深化や持続的成長につながることを重視しています。そのため、KPI設計の根拠や運用現場での課題も丁寧にヒアリングしながら、課題発見から施策実装、改善サイクルの運用支援に至るまで、お客様ごとに最適なソリューションをご提案いたします。

CRMはカスタマーサクセスの原動力

カスタマーサクセスの成否は、いかに顧客の状態を正確に捉え、変化を先読みして最適なタイミングで価値あるサポートを提供できるかにかかっています。そのためには、KPIを単なる達成度の数値管理として捉えるのではなく、施策につながる具体的な「行動インサイト」として活用し、CRM上で一元的に可視化・横断分析・部門共有できる体制の構築が不可欠です。担当者個々の経験や勘に頼るのではなく、全社の共通基盤としてデータに基づいた顧客理解を深め、継続的に状況をモニタリングしながら、課題や好機を察知し、機動的な改善アクションを積み重ねていくことが成果創出のカギとなります。

 

このように、CRMは単なる管理ツールにとどまらず、企業全体が同じ指標で現状を把握し、部門横断で顧客の成功に取り組むための強力なパートナーです。企業の持続的成長と競争力の源泉は、最終的に顧客の成功体験にほかなりません。まずは現状のCRM活用状況やKPI設計を見直し、進化したカスタマーサクセス体制づくりの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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小向雄大
執筆者:小向雄大
早稲田大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。社長直下の経営企画部門の立ち上げを担い、ゼネラリストとして業務に携わる。その後、大手不動産ベンチャー企業の経営企画、博報堂DY傘下エージェンシーで自社マーケティングおよびクライアントへのコンサルテーション業務に従事。ハブワンにRevOpsとしてジョイン。 HubSpot歴7年目。

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