BtoBナーチャリングにABMを取り入れる方法|実務で使える5つの戦略ステップ

BtoBナーチャリングにABMを取り入れる方法|実務で使える5つの戦略ステップ

ナーチャリング(見込み顧客の育成)は、BtoBマーケティングにおいて新規顧客の獲得や既存顧客との関係深化に不可欠なプロセスです。効果的なナーチャリングを実現することで、単なるリード獲得にとどまらず、顧客との長期的な信頼関係構築やLTV(顧客生涯価値)の向上につなげることが可能となります。しかし、従来の広範囲なアプローチでは、情報や施策が分散しやすく、限られたリソースでは十分なフォローが難しくなるなど、非効率な結果を招くことも少なくありません。こうした環境下で、注目を集めているのが、特定の企業やアカウントに的を絞り、最適なアプローチを集中的に行うABM(アカウントベースドマーケティング)戦略です。

ABMは、戦略的に選定したターゲット企業に対し、営業部門とマーケティング部門が連携しながら、その企業ごとにカスタマイズされたコミュニケーションや提案を行う手法です。具体的には、ペルソナ設定や課題抽出、コンテンツのパーソナライズ、接点強化を通じて、各アカウントの意思決定プロセスに寄り添い、見込み顧客とのエンゲージメントを高めます。これにより、ナーチャリングのプロセス全体がより効率的かつ成果につながりやすくなり、リードから受注までの歩留まり改善や、営業活動の精度向上が期待できます。

本記事では、こうしたABMの概念や導入メリットに加え、ナーチャリングの効果を最大化するための実践的な戦略やステップについて、全6章にわたり詳しく解説します。BtoBマーケティングにおける成果創出の鍵となる視点や、現場ですぐに役立つノウハウを体系的にご紹介しますので、ぜひ自社の施策改善にお役立てください。

ABMの基本概念とナーチャリングへの適用

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、特定の企業やアカウントをターゲットに据え、営業とマーケティングが一体となって個別最適化されたアプローチを実行するBtoB向けの戦略手法です。従来型のマーケティングが幅広いリード獲得を目的としているのに対し、ABMは受注確度やLTVの観点からビジネスインパクトが大きい潜在顧客にリソースを重点配分する点が特徴です。これにより、営業現場のナレッジや優先度とマーケティング活動が密接に結びつき、効率的なリソース活用と成果の最大化が実現します。

ナーチャリング領域にABMの考え方を導入することで、ターゲット企業ごとの事業課題や意思決定プロセスに応じたパーソナライズドコンテンツの提供やコミュニケーションが可能となり、フェーズごとに最適な情報や価値提案を届けることで信頼関係が深まります。さらに、具体的な見込み課題や意思決定フローを捉えた情報設計を行うことで、ターゲットアカウントの購買意欲や検討度を段階的に醸成し、最終的な商談化・成約につなげる効果が期待できます。

ターゲットアカウントの選定と情報収集

ABM戦略の成功は、まず適切なターゲットアカウントの精緻な選定から始まります。自社の製品やサービスと親和性が高く、ビジネス価値の最大化が期待できる企業を洗い出すために、業界・企業規模・成長性・所在地・売上規模・既存顧客との取引実績・経営方針など、多角的な視点から候補を絞り込みます。さらに、営業・マーケティング現場の知見や案件ヒアリングも組み合わせ、理論と実態の両面からターゲットを可視化することが重要です。

ターゲットアカウントが特定できたら、各企業の詳細な情報収集フェーズに進みます。これには、企業の組織構造、意思決定プロセス、役職や担当分野別のキーパーソン、事業戦略や中期経営計画、現状抱えている事業課題や業務上のボトルネック、市場動向や競合環境に対する意識といった網羅的なインサイトの獲得が求められます。加えて、社内外の公開情報や過去の商談履歴、Web・SNS解析結果なども幅広く活用します。

これらの情報をもとに、各企業ごとに最適化したナーチャリング戦略を設計します。具体的には、現場・経営層双方への価値提案の切り口を整理し、意思決定過程のステップごとに必要となる情報・アクションをマッピング。個社別の課題とニーズに応じたアプローチ手法やコミュニケーション設計、KPI設定と進捗管理プロセスまで体系化し、営業・マーケティング双方が一体となって一貫性のある働きかけを実現します。

パーソナライズドコンテンツの作成と提供

ターゲットアカウントごとにパーソナライズされたコンテンツを作成し、提供することは、ABMにおけるナーチャリングの核心です。企業ごとに収集したあらゆるデータをもとに、その組織が抱える特有の課題や業界動向、意思決定プロセスを深く分析し、それぞれのニーズや状況に最適化した情報発信を行います。たとえば、該当業界に特化した成功事例(ケーススタディ)の公開や、事業課題にダイレクトに応えるホワイトペーパーの提供、意思決定に関与するキーパーソン向けの専用ウェビナーや動画コンテンツの開催/配信などが挙げられます。

また、部門内の関心領域や購買フェーズに合わせて、メールやMAツールを活用したシナリオ型コミュニケーションも効果的です。これらのコンテンツを検討タイミングや意思決定フローに合わせて提供することで、ターゲット企業の課題理解を深め、エンゲージメントを高めながら信頼関係を構築します。さらに、質の高いパーソナライズドコンテンツの継続的な発信は、競合他社との差別化や、最終的な商談化・成約率の向上にも大きく寄与します。

営業とマーケティングの連携強化

ABMを成功させるためには、営業部門とマーケティング部門の密接な連携が不可欠です。両部門が共通の目標を持ち、情報をリアルタイムで共有しながら策定した戦略を遂行することで、ターゲットアカウントへの一貫性あるアプローチと、営業活動とマーケティング施策の相乗効果が生まれます。特に、重要アカウントごとに担当を明確化し、営業とマーケティングで共同のアカウントプランニングを実施、各フェーズでの優先施策や次の打ち手まで合意形成することが成果の最大化に直結します。

具体的には、定期的なミーティングの実施に加え、CRMやMAツールを活用したターゲット企業の進捗やインサイトの一元管理・可視化、各タッチポイントでのエンゲージメント状況の共有が有効です。また、部門横断で行動記録やコミュニケーション履歴、検討課題や意思決定プロセスの最新情報を随時アップデートすることで、アカウントごとに最適なナーチャリングシナリオを設計しやすくなります。これにより、ナーチャリングプロセス全体におけるリードタイム短縮や、担当者・決裁者それぞれに対するタイムリーで的確な情報提供が可能となり、業務効率と成果の両面で顕著な効果が期待できます。

成果測定と戦略の最適化

ABM戦略におけるナーチャリングの効果を最大化するためには、単発の施策管理ではなく、定期的かつ体系的な成果測定と、データに基づく戦略の最適化が不可欠です。まず、ターゲットアカウントごとのエンゲージメント率、商談化率、成約率といった主要KPIを明確に設定し、CRMやMAツールを活用しながらこれらの指標を継続的にモニタリングします。さらに、定量指標だけでなく、コンテンツへの反応や担当者との対話履歴、タッチポイントごとのインサイトなど定性的なデータも収集・分析することで、施策の実効性を多角的に評価します。

こうした成果データをもとに、効果の高い施策や成果に結びつきづらいボトルネックを特定し、コンテンツのアプローチやコミュニケーション手法、ターゲティング精度などの観点から改善ポイントを抽出します。そのうえで、得られた示唆を具体的なアクションに落とし込み、次なる戦略に反映させることで、PDCAサイクルを高速かつ着実に回していきます。これにより、ターゲットアカウントへのナーチャリングプロセスが進化し続け、成果の質と量が最大化される体制を構築することが可能となります。

HubOneだからこそABMによるナーチャリング成功に近づける

ABM戦略を本格的に推進し、ナーチャリングの成果を最大化するには、ツールやノウハウはもちろん、現場の実態と目標に合わせた設計力、そして全体を横断的にリードできる伴走体制が不可欠です。株式会社HubOne(ハブワン)は、2010年代から国産・外資を問わず、CRM、CMS、MA、SFAなど多様なSaaSプロダクトを取り扱い、数百社に及ぶ幅広い業種・規模のデジタルマーケティング変革を支援してきた実績があります。この豊富な経験と最新のベストプラクティスを活かし、ABM戦略の計画段階から実行、運用、成果創出まで一貫したサポートを実現しています。

ハブワンの強みは、単なるツール導入や初期設定支援にとどまることなく、企業ごとのビジネス課題や営業目標に基づき「どのアカウントに、どのタイミングで、どのような手法で最適にアプローチすべきか」を精緻にプランニングする力です。これにより、営業部門とマーケティング部門がシームレスに連携したアカウント管理体制を構築し、HubSpot等のMAツールを核とした運用設計やレポーティング基盤、PDCAサイクルを定着させる仕組みづくりまで包括的に伴走します。さらに、成果指標(KPI/KGI)や検証体制の設計、トレーニング・マニュアル化も含め、戦略立案から現場実装、運用定着、持続的な改善までワンストップで支援可能です。

ABM×ナーチャリングは、その構築と運用次第で成果に大きな差が生まれる領域であり、部門や担当者の属人的な取り組みだけでは限界があります。だからこそ、業界や商習慣を熟知した外部パートナーとの協働により、検討初期段階から確実な成果創出まで加速度的に推進することが重要です。ハブワンは、お客様と同じ目線で伴走しながら、最短で「売上につながる仕組みづくり」とその運用体制の内製化をゴールに据え、確実な成長を支援します。

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小向雄大
執筆者:小向雄大
早稲田大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。社長直下の経営企画部門の立ち上げを担い、ゼネラリストとして業務に携わる。その後、大手不動産ベンチャー企業の経営企画、博報堂DY傘下エージェンシーで自社マーケティングおよびクライアントへのコンサルテーション業務に従事。ハブワンにRevOpsとしてジョイン。 HubSpot歴7年目。

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