CRMが活用されない理由と解決策|現場で“使える”仕組みをつくる6つの視点

CRMが活用されない理由と解決策|現場で“使える”仕組みをつくる6つの視点

CRM(Customer Relationship Management)システムは、顧客情報を一元管理し、顧客接点の履歴や属性データをリアルタイムに可視化することで、企業と顧客との関係性を継続的に深め、組織横断での最適なコミュニケーションや営業活動を実現する強力なツールです。近年では、マーケティング・営業・カスタマーサクセスといった複数部門でのデータ連携や、APIを活用した業務システムとの統合が進み、より高度な顧客体験創出や業務効率化にも寄与しています。しかしながら、多くの企業がCRM導入後に「思ったような成果が出ない」「現場で使われない」といった問題に直面し、運用・活用面でさまざまな課題を抱えているのが実態です。

本記事では、CRMが十分に機能しない企業に共通する特徴や、その背景となるボトルネックを整理し、実務に即した改善ポイントと成果に結び付けるための具体的なアプローチを、全7章にわたって網羅的に解説します。これによって、CRM運用時にありがちな失敗を回避し、自社のビジネス成長・生産性向上につなげるための実践的な指針を提供します。

CRM導入の目的が不明確な企業

CRM導入において最も重要なのは、その目的を明確に定めることです。しかし、多くの企業は「とりあえず導入すれば業務効率が向上するだろう」といった漠然とした期待のもとでCRMを導入しており、その結果、導入後に具体的な運用方針や評価基準が明確に策定されないケースが散見されます。こうした曖昧な目的でシステムを導入した場合、日々の現場運用に結びつかず、十分な成果を得られないまま、システムが形骸化してしまうリスクが高まります。

例えば、ある企業ではCRMを導入したものの、部門間で利用方法やデータ入力に関する方針が統一されていなかったため、情報の分断や重複が発生し、情報共有や業務効率化といった本来のメリットを享受できませんでした。また、目的が曖昧なままツールを導入したことで、各部門の役割や責任範囲が不明確となり、従業員への教育や定着活動も十分に行われず、投資対効果が見えづらい状態が続いていました。

このような事態を避けるためには、CRM導入前に自社の課題や業務フローを丁寧に整理し、「顧客満足度の向上」や「営業プロセスの可視化」「マーケティング施策の精度向上」など、経営目標と現場課題の双方を意識した具体的な導入目的を明確に設定することが不可欠です。目的が明確であれば、自社の業種や業務プロセスに合致したシステム選定や運用計画も的確に策定でき、さらに、導入効果の測定や運用改善も計画的かつ効率的に実施できます。

加えて、目的設定の段階で経営層や主要部門のキーパーソンを巻き込み、全社的な合意形成を図ることで、施策の優先順位や社内で共有すべきKPI指標の選定もスムーズに進められます。HubOneでは、現状分析から経営・現場視点を踏まえた目的設計、運用方針や評価基準の策定まで、ワンストップで支援可能です。こうした明確な目的設定に基づいた体制構築こそが、CRM導入を成功に導き、組織全体で最大限の成果を創出するための第一歩となります。

評価指標(KPI)の未設定による効果測定の困難さ

CRM導入後、その効果を適切に評価するためには、明確な評価指標(KPI)の設定が欠かせません。しかし、多くの企業ではKPIを設定せずに運用を開始し、結果として「CRMの効果が見えない」「投資対効果が不明確」といった問題に直面しています。

例えば、B社ではCRMを導入したものの、具体的なKPIを設定しておらず、営業部門では「業務が楽になった」との声が上がる一方、他部門からは「効果が見えない」との指摘がありました。このような状況に陥ることで、導入目的であった業務効率化や顧客満足度向上などの本質的な価値を経営層が十分に実感できず、さらなる施策投資や運用改善への意思決定が遅れるリスクも生じます。

こうした失敗を防ぐためには、「顧客獲得率の向上」「リピート率の増加」「営業プロセスの短縮」など、自社の経営目標や業務フローと連動した、具体的かつ測定可能なKPIを予め設定し、運用開始後も定期的にデータ収集と振り返りを行うことが重要です。KPIは単なる数値目標としてではなく、部門や個人の行動指針となり、PDCAサイクルを回すための基盤にもなります。

また、KPIの設定・運用には各部門の現場担当者と経営層の協働が不可欠です。現場の実態や業務プロセス、使用するCRMツールの機能理解に基づき、現実的かつ納得感のある指標を策定することで、定着率と運用効果の最大化が図れます。これにより、CRMの運用状況を客観的かつ継続的に評価し、必要な改善策や教育施策をタイムリーに講じることが可能となります。

さらに、HubOneではKPI設計の段階から伴走し、事業・部門ごとのゴールに直結した評価指標の策定、ダッシュボードやレポート機能の構築、運用メンバー向けの定期的な分析・改善ワークショップまでを一気通貫でご支援します。こうした体系的なKPIマネジメントの仕組みを導入し、実際の業務成果へとつなげることで、CRM投資の成果を「見える化」し、社内全体で納得感を持って次のアクションに繋げる体制を構築できます。

従業員の情報入力の徹底と運用ルールの策定

CRMシステムの効果を最大化するためには、従業員による正確かつ継続的な情報入力が不可欠です。しかし、多くの企業においては「従業員が情報を入力しない」「入力作業が手間で後回しにされている」といった課題が顕在化しています。

例えば、C社ではCRMを導入したものの、営業担当者が新規顧客や案件情報の入力を怠り、十分なデータが蓄積されないまま結局従来のExcel管理に逆戻りする事態となりました。こうした失敗を防ぐためには、まず従業員に対してCRM導入の目的や業務上のメリットを丁寧に説明し、なぜ情報入力が必要なのかを納得してもらうことが肝要です。具体的には、CRMを使うことで「顧客対応がスムーズになる」「営業やマーケティング活動の成果が見える化される」「属人化から脱却して組織的な営業活動が可能になる」といった現場に直結する利点を示し、現場目線で導入意義を浸透させることが大切です。

また、情報入力作業を日々の業務フロー内にきちんと「業務の一部」として組み込み、入力状況やデータの質を人事考課や業績評価と連動させるなど、入力を促すインセンティブ設計も有効です。たとえば、入力率やデータ活用への貢献をKPIとして明示し、定期的に評価・フィードバックを行うことで、従業員の意識向上・運用定着につながります。加えて、入力項目を必要最小限に絞り、モバイル対応や自動入力補助機能の活用など、従業員の負担を減らす工夫も推奨されます。

さらに、情報入力のルールや定義を明確化し、部門や担当者ごとに異なる運用が発生しないよう、全社的に統一された運用ルールを策定・共有することが重要です。たとえば、「案件発生時には24時間以内の入力を必須とする」「進捗ステータスの定義を全営業部門で統一する」といったルールをマニュアル化した上で、定期的な教育やガイドラインの見直しを行います。これにより、データの一貫性が保たれ、管理や分析・レポート作成における信頼性も担保されます。

HubOneでは、こうした組織横断型の運用プロセス設計から、入力定着化に向けた仕組みづくり、従業員向けの教育・研修コンテンツ提供、入力状況可視化のダッシュボード構築までトータルでご支援可能です。単なるシステム導入に留まらず、現場が実際に「使いこなせる」CRM運用体制の構築を通して、確実な業務改善と成果創出をサポートします。

システム選定時の検討不足と操作性の問題

CRMシステムの選定においては、自社の業務プロセスや従業員のITリテラシー、現場の実務課題を十分に考慮しないまま導入に踏み切ると、システムの操作や運用でつまずき、現場定着が進まないケースが数多く発生します。たとえば、ある企業では高機能なCRMを導入したものの、業務フローに合致しない設計や複雑な操作性が障壁となり、従業員が日常的にシステムを活用できず、最終的にはシステム自体が使われなくなってしまいました。このような事態を未然に防ぐためには、導入前に複数のCRM製品を充分に比較・検討し、各システムの実際のUI/UXを現場の担当者が体験できるトライアルを実施することが重要です。特に、ITの専門知識を持たない従業員でも直感的に操作できるユーザーインターフェースを備え、日々の業務フローに自然に組み込める設計のシステムを選定することで、導入初期から利用率と定着率の向上が期待できます。

さらに、導入検討の段階で「自社に本当に必要な機能」と「過剰な、もしくは将来的にも使わないであろう機能」とを明確に切り分けることもポイントです。必要十分な機能に絞ることで、現場での混乱や負担を減らすだけでなく、システム運用のシンプル化やコストパフォーマンスの最適化につながります。加えて、システム選定プロセスには現場のリーダーやキーユーザーを巻き込み、業務要件のヒアリングや運用上の懸念点を早期に共有・解消する仕組みづくりも不可欠です。結果として、導入後の教育・マニュアル整備や、組織横断での利用方針の策定がスムーズに進み、CRM本来の価値を最大限に引き出す基礎を築くことができます。

HubOneでは、単なる製品選定のアドバイスにとどまらず、業務ヒアリング・トライアル設計・現場巻き込み・定着運用まで一貫してご支援し、御社に最適なCRM活用体制構築をサポートします。

組織全体での運用体制と継続的な改善の重要性

CRMの効果を最大限に引き出すためには、単なるシステム導入にとどまらず、組織全体で一貫した運用体制を確立し、継続的な改善を日常的な業務の一部として組み込むことが不可欠です。実際、多くの企業では、部門ごとに異なる運用方法がとられていたり、導入後のフォロー体制や活用状況の評価・改善が十分に行われていなかったりするケースが多く見受けられます。その結果として、CRMのもつ豊富な機能や「顧客の360度ビュー」といった本来の価値が全社的に活かされず、情報が分断・部分最適化されてしまうという課題が発生します。

たとえば、D社の事例では、営業部門のみが積極的にCRMを導入し活用していた一方で、マーケティング部門やカスタマーサポート部門は従来型の個別管理を続けたため、部門間で顧客情報が分断され、連携型の施策が推進できない状況に陥っていました。このような状態では、顧客接点ごとの情報が統合されず、CRMがもたらす組織的なナレッジ活用や顧客体験の最適化が実現できません。

こうした事態を防ぐためには、まず経営層がCRMを企業成長の中核戦略と位置づけ、その導入と定着の意義を組織全体に浸透させることが求められます。部門間コラボレーションを促進する統一運用ルールや権限分担を明確化し、運用ルールのマニュアル整備、部門横断の連携体制構築、そして経営層も含めた定期的な活用状況レビューとフィードバックによって、継続的な運用改善サイクルを仕組み化する必要があります。

また、CRMの価値を持続的に高めるためには、導入後の運用データをもとに、課題抽出・改善アクションの実施・成果確認といった「PDCAサイクル」を業務プロセスに組み込むことが重要です。業務フローや顧客ニーズの変化に合わせ、システム機能の拡充やカスタマイズ、さらには利用部門・従業員への追加研修やオペレーション見直しを定期的に行うことで、CRMの活用レベル向上と高い事業成果の実現へと繋がります。

このように、CRM導入を通じて持続的に成果を創出するためには、「全社的な運用ガバナンス」と「絶え間ない業務改善」が両輪となります。HubOneでは経営・現場を巻き込んだ体制設計から、部門横断の統一ルール策定、データ活用の最適化、定着状況の可視化と改善サイクルの運用まで、組織成長を支えるための包括的なご支援が可能です。

HubOneだからこそ、CRM活用を成功に導ける理由

CRMの運用を成功させるためには、ツール選定や機能のみに頼るのではなく、「誰がどのように導入・設計・定着させるか」という運用プロセスそのものが極めて重要です。株式会社 HubOne(ハブワン)は、2010年代から国内外のSaaSプロダクト(CRM、MA、CMS、SFA等)に幅広く携わり、業界・規模を問わず数百社に及ぶデジタルマーケティングおよび業務プロセス変革を支援してきました。 

HubOneが持つ最大の強みは、CRM導入において単なるツールの設定や初期導入支援にとどまらず、クライアント固有の業務フローや組織体制、人材レベルにまできめ細かく寄り添い、「現場レベルで使いこなせ、組織に根づくCRM運用」を実現するための伴走型支援を一気通貫でご提供できる点です。KPI設計・可視化、部門横断の運用ルールの構築、現場従業員向けの教育・研修、さらには定着・改善サイクルまでをワンストップで支援することで、全社レベルでの定着・活用と、その後の自走を力強く後押しします。

また、HubOneは特定の製品やベンダーに依存しない「第三者的かつ中立的な視点」での製品選定・評価とアドバイスが可能です。豊富な導入・運用の成功事例および実際の失敗事例から培われた知見を基に、御社の業界特性や成長ステージ、人材構成に最適なCRM活用戦略と導入シナリオをご提案します。業務ヒアリングから要件定義、システム選定、カスタマイズ・トレーニング、運用現場の定着化・評価まで、ワンストップの伴走体制で支援いたします。

CRMが本当に“機能する企業”へと変革したい、既存システムの活用に課題を感じている、あるいは0から最適なCRM体制を構築したいとお考えでしたら、ぜひ一度HubOneにご相談ください。私たちは、ツールと業務、人材とデジタルを“本質的につなげる”パートナーとして、確かな業務成果と持続的な企業成長を実現するための最適なロードマップを共に描きます。

CRMを“使いこなす”企業が持つ視点とは

CRMが機能しない企業には、導入前の業務整理や目的設定が不十分なままシステムを採用してしまうケースが多く、さらに社内で「なぜ導入するのか」という意識統一や評価基準づくり、定着化に向けた仕組み作りが疎かになりがちです。その結果、現場部門ごとにバラバラな使われ方や入力ルールの不徹底、運用改善サイクルの不在といった課題が顕在化し、部分最適や活用形骸化による投資対効果の低下につながります。

一方で、CRMをビジネスの中核として成果を上げている企業には、いくつか共通する重要な要素が見受けられます。

  • 導入目的や期待する成果を組織全体で明確に定義し、全社的な合意形成がなされている
  • 定量的なKPIやKGIを設定し、運用状況・成果を継続的にデータで評価している
  • 従業員一人ひとりの活用を促進するための教育体制や、活用度を評価に反映する制度を整備している
  • システム選定に現場ニーズやITリテラシーを反映し、実務目線から「使いやすさ」や「定着しやすさ」にこだわっている
  • 部門間連携を重視し、全社一貫の運用ルールとガバナンス、そして継続的な見直しと改善サイクル(PDCA)を組織文化として根付かせている

このような企業では、CRMを「単なる道具」ではなく、顧客中心の経営やデータドリブンな意志決定を推進するための事業基盤=「文化」として位置付け、導入後も改善・浸透を絶え間なく行うことで、その持続的な価値を最大化しています。実際、CRM運用の成否はツール自体の性能やベンダー選定よりも、経営・現場・システムが三位一体で連動し、組織風土や戦略目標に沿って使われているかどうかが大きく影響します。

もしも御社で「CRMが期待通りに機能していない」と感じる場合、単にツールの機能や担当ベンダーに原因を求めるだけではなく、「自社の導入目的と現状運用のギャップ」「組織・運用体制の課題」「全社的な学習・改善サイクルが機能しているか」といった観点から、改めて運用全体を総合的に見直すことが、CRM活用改革の第一歩となるでしょう。

HubSpotの活用ならHubOne

ABOUT HubOne

HubSpotの活用なら、実績豊富なHubOneにお任せください。導入を検討中の方から、すでに運用を始めている方まで、それぞれの状況に合わせて最適な支援をご提供します。ツールを導入するだけで終わらせない、本質的な成果につながる活用をサポートします。

  • 経験豊富な専門チーム

    PROFESSIONAL

    HubSpot認定資格保有数 日本No.1の専門家集団が、貴社の課題を丁寧にヒアリングし、最適なプランニングと運用支援をご提供します。

  • カスタマイズ対応

    CUSTOMIZATION

    HubSpotの標準機能だけでは対応しきれない業務や業種特有の要件にも柔軟に対応可能です。外部ツール連携やワークフローの設計、ダッシュボードのカスタマイズなど、貴社の運用にフィットする最適な設定と構築を一緒に行います。

  • 継続的なサポート

    SUPPORT

    HubSpotの導入後も継続的にご支援し、目標達成に向けた改善提案や運用フォローを行います。単発で終わる支援ではなく、定例ミーティングやレポート分析、施策立案などを通じて、ツールの価値を最大化する伴走支援を実施しています。

無料で相談する
小向雄大
執筆者:小向雄大
早稲田大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。社長直下の経営企画部門の立ち上げを担い、ゼネラリストとして業務に携わる。その後、大手不動産ベンチャー企業の経営企画、博報堂DY傘下エージェンシーで自社マーケティングおよびクライアントへのコンサルテーション業務に従事。ハブワンにRevOpsとしてジョイン。 HubSpot歴7年目。

さらにHubSpotを
活用したい方へ

NEXT STEP